「自分を愛する人は、他の人を愛することができる」という理屈をよく聞きます。
今回は、その考えの問題点を取り上げます。
(参考資料は、日本聖書学院ブログ「自己愛という非聖書的な教え」2015年3月13日)
実は私も若い頃、キリスト教カウンセリングの学びの中で、この考えに触れました。
そして正しい考えだと思っていました。
しかし、聖書を丁寧に読んでいくと、危険な考えであることに気がつかされたのです。
今回、３つの点に絞ってまとめてみます。
①自分だけを愛する人は、視野が狭くなる。
②自分だけを愛する人は、人を無視できる。
③健全な「自分を愛する」とは？
マタイ（新約聖書）22:37〜40
そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』これがたいせつな第一の戒めです。
『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。
律法全体と預言者とが、この二つの戒めにかかっているのです。」
イエス様が語られた戒めは、「神を愛すること」と、「隣人を愛すること」の２つだけです。
自分を愛することは前提（エペソ5:29)であって、第3の戒めは無いことを確認しておきます。
（「自分を愛しなさい」と命じられていない、のです。)
①自分だけを愛する人は、視野が狭くなる。
自己愛の強い人は、「自分を基準」に物事を考えます。
「人も、自分と同じように考える」と心の奥で信じ込んでいます。
そう考える人は、「自分が理解できることだけ」がすべてであると考え、
それ以外のことは「無視する」ことができるのです。
②自分だけを愛する人は、人を無視できる。
自分だけを愛する人は、情報だけでなく、接する人に対しても「理解できないこと」（理解したくないこと）は、「無視」できてしまいます。
天真爛漫に、悪気なく、それができるのです。
自分で自分を「愛情深い」と思い込んでいていても、素の自分になった時には、平気で人を「無視」します。
「自分だけを愛する人」は、多くの場合、自分は「立派な人間だ」と考えています。
親切で思いやり深く、気配りができる・・・そんな自分が「好き」です。
そして「自分の、ひどい部分」は見ないようにします。
見てしまった時には、そんな「ひどい自分」になってしまったのは「〇〇〇のせい」と考えます。（こんな「良い人の私」を「ひどい状態」になるほど、自分はひどいことをされた。）・・・と主張できるのです。（自分の責任は横に置いて、見ようとしません。）
その方は、見たいところだけを見ていて・・・自分は愛がなく、自己中心でひどい人間であることを見ようとしない・・・「自己愛の罠」にはまっていることに気がついていないのです。
２テモテ（新約聖書）3:1〜5
「 終わりの日には困難な時代がやって来ることをよく承知しておきなさい。
そのときに人々は、「自分を愛する者」、金を愛する者、大言壮語する者、不遜な者、神をけがす者、両親に従わない者、感謝することを知らない者、汚れた者になり、
情け知らずの者、和解しない者、そしる者、節制のない者、粗暴な者、善を好まない者になり、
裏切る者、向こう見ずな者、慢心する者、神よりも快楽を愛する者になり、
見えるところは敬虔であっても、その実を否定する者になるからです。こういう人々を避けなさい。」
「自分を愛する者」が、「悪い考え方リスト」の中に入っていることを、知らなければなりません。
③健全な「自分を愛する」とは？
では健全な自己愛とはどういうものなのでしょうか。
先ほどのイエス様の言葉に戻ります。
マタイ（新約聖書）22:37〜40
そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』これがたいせつな第一の戒めです。
『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。
律法全体と預言者とが、この二つの戒めにかかっているのです。」
「神様を愛し、隣人を愛する心を持った」自己愛は健全なものです。
逆に言えば、「神様を無視し、隣人に愛情を感じない」自己愛は、歪んだ感情なのです。
読者の中には、神様を信じておられない方もおられると思いますから、
「公けのものを尊重する」と言い換えても良いと思います。
自分の属する学校や職場を大切にする、住む地域と人々を大切にする、自分の生まれた国を大事にする。
昔から日本人が持っていた「普遍的な感覚」（地域を愛し、地域を守り、地域のために奉仕をする）
そのような「公けのもの」を尊重し、「身近な人」を大切にする・・・そのような心を持った自己愛は、ほぼ健全だと言えるでしょう。
自己中心で「自分を愛する」とは危険な考えです。
ルールを無視して、「自分は正しく」「尊重されるべきだ」という「自己愛」は、害でしかありません。
「自己中心の自己愛」に気がついたなら（私たちは簡単にこの罠にはまります。）
雑草を抜くように、すぐに意識的に「取り除き」ましょう。
そのように意識するだけでも「大きな失敗」を犯さなくなるはずです。
クリスチャンであれば、毒麦を抜くように、「イエス様の十字架」に告白して、聖めて頂きましょう。
毒麦の考え方は、自分で処理しようとしても、逆に巻き込まれてしまいます。一番早く確実な方法が「イエス様の十字架に告白して、捨ててしまい、聖めてもらう」ことなのです。
使徒の働き（新約聖書）3：19－20
「ですから、悔い改めて神に立ち返りなさい。そうすれば、あなたがたの罪はぬぐい去られます。そうして、主の御前から回復の時が来て、あなたがたのためにあらかじめキリストとして定められていたイエスを、主は遣わしてくださいます。」
ここまで読んで下さってありがとうございました。
読者の皆さんが、
「健全な自己愛」で、心のバランスを保ちながら、
「公けのものを大切」にし、「身近かな隣人を愛し」、ていけることを、
お祈りしています。
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